さて、2泊3日も前後一日計二日は移動日なので、早くもチェックアウトの日がやって来た。

午前10時のダバオ行きバンカを予約していたオレは、9時には荷物をまとめ9時過ぎにはリゾート中央の臨時カウンターにカギを返すとチェックアウトの手続きをしてもらうことにしたのだ。

帰りは疲れを考え、ダバオから飛行機でマニラにひとっ飛びする予定だった。飛行機の時間は午後1時15分。午前10時のバンカはちょうど良い時間だった。

滞在中にフィリピンのロークオリティーを思い知らされたのは、メシと施設案内の不親切さ程度だったのだが、この帰途にはこの国の嫌な面をまとめて食らわされる羽目になった..........

カウンターでチェックアウトを頼み、食事や何やらの清算をしようと伝票をチェックしていると朝食の料金が載っていた.......旅行代理店からもらい、チェックイン時に渡したバウチャーには朝食入りとシッカリと書いてあるのにだ.........

朝食も一人1000pという金額なので、当然オレはクレームをつけた。その時までは「またチェックの緩い仕事してるな」程度にしか思って思っていなかったのだが、受付のオンナはオレの想定の範囲外の反応を返して来たのだった............

オレがクレームをつけると、受付のオンナは何も説明せず「No, You have to pay it!!」と言ってのけたのだ........
オレは当然ながら、じゃチェックインの時のバウチャー見せて」と言うと、彼女はオレのファイルからバウチャーを取って見せて来た。
この時点でも何も補足説明無しにである。

オレはそのバウチャーに書かれている朝食込みの文字を指し示し、朝食込みでしょ!と言うと、その時初めて受付のオンナは「旅行代理店から朝食無しのバウチャーが来てますから....」と支離滅裂な事を言って来る。

オレが「でもここには朝食有りって書いてあるでしょ」とオレがチェックイン時に提出したバウチャーをヒラヒラすると、彼女は旅行代理店からは別のバウチャーがfaxされてきてるんですよ」と言って来たではないか!

スイートルームに泊まってる客にイチイチつまらん事言うヤツだと、いつもは苦笑して適当にあしらうオレもキレ気味だが、このサービスのサの時も知らない受付嬢に仕事のイロハを教えてやらなきゃいかんのかと深呼吸しながら、「そういう時にはちゃんとその書類見せるもんでしょ?」と皮肉を交えて言うと、何故か受付嬢もマジ顔になっている....ここで、何でオマエがキレてんだよ!と一気にテンションが上がってしまった。

受付嬢はまたまたオレのファイルの中から一枚のファックス用紙をオレに見せて来た....
そこにあるなら最初から出せよ!とオレの心はもうキレまくっているのだが、一応平静を装ってそのfaxを見ると「訂正」とも何とも書いていないそのバウチャーは何とチェックアウト当日の朝9時に送られて来ているものだった.........

おそらく旅行代理店が最初のバウチャーを発行する際にタリフを間違えたのだろう........しかし、そんな事はオレは知ったこっちゃない。しかもチェックアウトの際にそんなバウチャー見せられて金払えとは「詐欺」そのものではないか..........

オレの怒りは頂点に達し、「チェックアウト時に来たバウチャー見せて金払えはないでしょ。あなたと代理店で話しなさい」と言うと、受付嬢は何と「あなたと代理店との話しですからあなたが話しなさい」と言って来る。

オレは自分の持ってきたバウチャーを見せて、「このバウチャーでカギを貰った訳だから、こちらのバウチャー(今朝届いたfax)はオレには関係無い」と言うと、明らかに受付嬢は怒っている。

何やらインターフォンを取ると、マネージャーと話しているのだろうか.....ダバオ語なので解析不可能なのだが「アヤウニャバヤド」(払いたくないんだって!!)という言葉だけは理解できた。払いたくないでは無く、払う必要が無いの!!と思いながら話しを聞いていると、一応バウチャーに記載されている担当者に連絡を取ろうとしているらしい.......

オレはその間に素早く事の進行を予測してみた。
これは明らかに誰かのミスなのだ。旅行代理店である可能性は大だが、この国の事情を考えるとスムースに事態が収拾するとは考えにくい。
まずは代理店と連絡がつかないだろうと予測した。その上、受付嬢が内線連絡しているのにも関わらず、マネージャーらしき人物が現れる様子も無い。これも責任者が誰かは知らないが、それなりの権限を持った人間が居ないか、リゾート側では収拾するつもりが無いのだろう。

内線が終わって15分程待ったが、一向に事態が進展する兆しは無い。
もうバンカ出航まで15分しか残っていない。受付嬢は「払わないとチェックアウトできませんから」と今度は脅してくるではないか!、これにはオレもカチンと来て、「こんな事態は見た事が無い、そもそもアンタは海外旅行した事あんの?」と言うと、しばし絶句の後、「ありますよ!」と来たもんだ。
どうみてもホテルサービスのなんたるも判っていないこのオンナが海外旅行した事ありますよとは恐れ入ったものだが、オレはこれでまたまた頭に血が昇ってしまった。

バンカ出航十分前、既に乗客はバンカに乗り終わっているのを見て、オレは仕方なく最後のカードを切る事にした。
実は今回の旅行代理店は日本人向けの代理店を使っていたのだが、実際のブッキングはさらにもう一社地元の旅行代理店を経由していたのだ。つまり今回の問題を起こした代理店は地元の代理店だったのだ。

この手の問題は普通は現場で十分収拾可能なはずなのだが、今回はこれから強引にマネージャーを呼び出して話しをつける時間的余裕は無かった。いや、実際に現地代理店まで連絡出来ても、相手のタリフ違いを棚に上げて、この料金では朝食はついてないんです..とシャアシャアと言って来る位が関の山だろうと予測したオレは実際は何の調整力も持たないだろうと思われるオレの直接の代理店に電話する事にした。

こちらは流石に日本人向け代理店とあって、オレのtexにすぐに反応し連絡してきてくれた。
事態を告げると、一応調べてみる旨連絡があったが、結局チェックアウトの時間が迫っているのを察し、朝食分を払っておいてくれればマニラで清算します....と非常に親切な対応で締めくくってくれた。

ま、冷静に考えれば当然なのだが、この不条理な対応に辟易としていたオレには神の声に等しく聞こえたのだった........

かくして、不貞腐れてる受付嬢に朝食分の領収書を別に切れといい、チェックアウトの手続きを進めると彼女はうれしそうに「これでアナタは次回来られる時に問題ありませんよ!」と偉そうに言うではないか!

「じゃ、何か?このまま揉めてたらブラックリストにでも載るのかい?そもそも二度とは来ないぜ!」とまたまたムクムクと不愉快な気分が湧き上がったが、サルを相手に怒ってみても不愉快が増すだけなので黙って去る事にした....

帰りのバンカからリゾートの専用島を眺めているとキラキラとした海には何故か哀愁が漂っていた...........